今回はココナラで受注した「イラスト添削」の内容を紹介します。
ありがたいことに、ココナラで添削サービスを開始して1カ月で8件ものご依頼を頂きました!
その中で公開の許可をいただいた作品を添削内容とともに紹介したいと思います。
筆者の添削では元イラストに「不変的なデッサンの基礎知識を加えただけ」を基本に元イラストの魅力や雰囲気は変えずにイラストがより良くなるアドバイスを行っています。
送っていただいたイラストすべてに共通していましたが、元のイラストがすでに魅力たっぷりなんですよね。
そこに不変的な基礎をプラスすることで良いところは元のまま、グッと見やすいイラストに進化させることができるのです。
筆者の好みや感性によるなんとなくのアドバイスではなく、膨大な基礎知識をベースとした添削になっています。
東京芸大出身で基礎力に強みがあるからこそできるアドバイスだと自負しております。
前置きが長くなってしまいましたが・・・
それでは、1枚目の作品を見ていきましょう!
ご依頼内容
お送り頂いたイラストは水無月しずくさんのイラストです。
※掲載の許可を頂いています。
「食べている」をテーマに連作のひとつとして制作されたイラストだそうです。
個性的で鮮やかな色遣いがとても魅力的です!
ご依頼でいただいた内容を以下に要約しました。
- おいしそうにというよりは破片がぽろぽろ散って焦っているところを描いた
- 細部、特に手が適当になっているという指摘をうけた
- 人物の背景描写や設定が薄いから細部の描写も甘くなるのだと思った
- 物語のように伝わる絵にするためにはどこを気を付けたらいいのかを教えてほしい
こちらの内容を踏まえてより良いイラストに見えるよう添削を行っていきます!
水無月しずくさんのイラストの魅力
まずはお送り頂いたイラストの魅力について書かせて頂きました。
アップで見るとより魅力が伝わると思います!
目元のアップです。拡大して見るとその魅力がよく伝わると思います。
彩度の高低のバランス、色相のずらし方など絶妙な色がケンカし合わず自然に配色されているところにセンスを感じます!
アップで見ると良くわかりますが、肌に置くには勇気のいるブルーをはっきり置いていたり、色の勉強をかなりされていたことが伺えます。
白いお皿にグリーンやピンクなど様々な色が含まれており、きれいな白の表現が上手くいっています!
影の色を明度を下げただけの色で塗ると濁って見えてしまうのですが、色相をずらした色で影を表現することでとても鮮やかな色遣いになっています。
肩に落ちている木漏れ日のような表現も個性があって素敵です!
これらの魅力を活かしながら次は赤入れを行っていきます!
赤入れ
顔周り
前髪の毛束をそろえ、耳やえらの形の調整をしています。
肩と首回り
見えないところもガイドを引きながら描くとわかりやすくなると思います。
手の形
手の形は難しいですね…!
手のひらを丸く形どって、そこから指の丸を生やしていくイメージでガイドを引きます。
腕
服の部分が露出している腕よりも細くなっていたので服の中に腕が入っているイメージで赤入れをしています。
ドーナツの形
ドーナツ型の立体は側面の真ん中を通る線をイメージすると立体感が出やすいです!
赤入れのビフォーアフター
赤入れ前と後の全体を見比べてみました。
Afterでは赤入れのあと形に合わせてシルエットを塗り足して仕上がりのイメージもしやすいようにしてあります。
加筆と仕上げ
続いて、赤入れ後の形から加筆と仕上げを行っていきます。
以下で赤入れ後の状態からどう加筆されたかビフォーアフターが見比べやすいよう横に並べて掲載しています。
加筆
目元の印象を強め、前髪の生え際に濃い色を足しました。
奥の椅子に影を追加。
テーブルにあたる木漏れ日も足しています。
奥の腕はそんなに目立たたなくていいのでコントラストを落としつつシワの描写を目立たなくさせています。
ドーナツの影を描写することでお皿に乗ってる感が強調されます!
仕上げ
背景に奥行きを出すため、ぼかしを加えました。
ぼかすことで焦点が絞られ、背景のディティールも書き込みをおさえたまま置いておくことができます。
奥の腕がより奥にあるように見えるようわずかに背景になじむ色を乗せています。
ドーナツの彩度と明度を上げ、コントラストを高くすることでより目立つように。
椅子の色を少し濃くすることで背景より人物に近いところにあることが伝わるようにしています。
ドーナツのかけらを追加で描写しています。
ぽろぽろこぼれているシーンがより感じられるように、また、絵に動きを足す効果も出しています。
加筆と仕上げは以上になります!
元イラストと添削後のビフォーアフター
元のイラストと添削前のビフォーアフターです。
雰囲気は変えないままデッサンを整え、主役に視線が集中するようになったことがわかるでしょうか。
実際の添削データではレイヤーの表示と非表示で常にビフォーアフターを見比べやすいようになっています。
構図について
最後に構図についての補足ですが、できるだけメインの部分が中心にくるようにすることで主役の部分に目が行くような画面になります。
シルエットで見ると、右の方がキャラが中心に来ているように見えると思います。
サムネイルサイズでキャラと背景のシルエットが美しく見えているか気にかけてあげるときれいな構図が作ることができます。
基本的にキャラの顔の向いてる方をあけ気味にした方がバランスのいい構図に見えます!
物語が伝わる絵にするために
ご依頼の中で、
と質問を頂きましたのでこちらにもお答えさせて頂きました。
結論を言うと、「情報を整理すること」だと思います。
メインの目立つ部分(人物の表情やドーナツ)の情報を増やし、メインではない部分(奥の腕や背景)は思い切って情報を減らすことで全体の情報が整理されていきます。
情報を増やしたり減らしたりをすることで見る人に伝えたい情報だけが伝わる絵になっていきます。
今回はメインが「ドーナツの破片がぽろぽろ散って焦っている」という光景なので、それに関係する情報を増やしたり描き込んだりするとよくなると思い、添削でもそのように情報を整理させて頂きました。
また、描写が甘くなることの解決方法は、イラストの中の人物とできるだけ近いことを実際にやってみるのが一番だと思います。
テラス席でドーナツを実際に食べてみて、そこで起こったことを細かく観察しながら行動してみます。クランチがポロポロ落ちるのはどのタイミングだったか?どこにこぼれていったのか、手についた感覚はどんな感じか、実際に試してみることでグッと解像度があがります。
魅力的なイラストの描写が上手い人は普段から何気ない行動や現象をよく観察しているのだと思います。
なかなか意識しないといつも通り過ごしてしまうので、生活の中で体験することを意識して細かく観察するクセをつけるとイラストの解像度もあがっていくと思います!
まとめ
イラスト添削サービスで行った内容をそのまま全部公開させて頂きました。
イラストをクオリティをアップさせるコツが伝わりましたでしょうか。
今回のイラストの作者、水無月しずくさんはココナラでイラストを受注されています!
色遣いが魅力的なイラストととても丁寧なやりとりをして下さる方ですので、気になる方はぜひチェックしてみてください!
それでは、また次回!
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